コーヒー研究室

コーヒー屋である理由

 Coffee SAKURAは2001年7月に誕生しました。
 そのころの店名は、Cafe茶蔵(さくら)。
 現在はコーヒー豆売り専門店ですが、当時は自家焙煎といっても喫茶が中心。喫茶で飲む分を自家焙煎しておりました。ご注文の都度ネルで丁寧にドリップ。最高の一杯をお客様にご提供することが狙いでした。

 それまでの11年間は公務員。それも税務職員で多くの社長と出会ってきました。実家も家族経営でしたが自営業。そんな人達と出会い、お金儲けだけが目的ではなく、何か輝くものをもっておられることを明らかに感じていました。
 たった一度の人生。自分もいつか自分が生まれてきた理由をみつけ、自分の役割を精一杯果たしたいという気持ちを、そのときは漠然と持っていました。

 なぜコーヒー屋かといえば、もともとコーヒーが好き…という気持ちと、数多くの従業員を雇うというビジョンもなく、小さなお店をイメージしており、ちょうどモノづくりが好きだったこともあり、自家焙煎コーヒーという仕事が合うのではないかと思って始めたわけです。

 公務員のときは十分休みが取れていました。その休日を利用して多くの自家焙煎店の方々を訪ねました。自家焙煎の先輩方は大変親切にしてくださり、人生のことも含め様々なことを教えてくださいました。

 考えていた事業は多くの人に売りたい・儲けたいという気持ちはなく、質素でも生活ができれば良いという気持ちでした。日本一おいしいコーヒーを作って、コーヒー業界ではチョッと名の通った存在になりたい…という気持ちでした。

 事業を始めてすぐ、経営が思い通りにならない現実に突き当たりました。経理は分かっていても、ちょっと焙煎の技術を覚えても、お客様の気持ちを感じ取る気持ちが欠けていたと思います。事業の現状を思い悩みならも、地域の皆さんとのボランティアや、経理の仕事などコーヒーや事業とは関係のないことに熱中…ある意味現実逃避をしていたのかもしれません。

 そんな状態で数年が過ぎた時、コーヒーの仕事を始めた時の気持ちを忘れている自分がいることに気がつき愕然としました。とても悩み、始めた仕事だったはずなのに。自分は一体、何をやっているのだろう…自分自身に問いかけなおしました。

 そして、出た答えが「とにかくコーヒーに力を注ぎたい」その一点でした。

 そこから、コーヒー以外のことを出来る限り止め、気心の知れた別のコーヒー屋と共同経営を始めることにしました。
 だが、再び経営することの難しさに直面し、結局、共同経営に失敗。店舗を売り払い再スタートを切ることになりました。けれど、確かに、この時に得た物もあり、特に理念や方針を明確にすることの大切さを知ることができたのは大きかったと思います。

 共同経営に失敗し、多くの方々に迷惑をかけてしまった後、なぜ仕事をするのか?何のために生きているのかなどを考えました。

 その時、考える手助けをしてくれたのが、コーヒーでした。コーヒーはとても分かりにくい飲み物です。全てが同じ茶色の液体に見えるけど、味も異なるし、世界中の様々な地域で様々な人によって栽培され、流通していて、僕達が飲める。同じように見えるコーヒーにも、その背景には、先進国と途上国の関係や、自然と人間との関係なども含めて、様々なストーリーがあるのです。

 考える中で見えてきたことは、「先進国と途上国の役割」や「人と動物、植物の役割自然の偉大さ」。「自然の中での人の役割」や「幸せとは何か?」ということ。
 特に「幸せとは何か?」という根本的なことを考えることができたのは大きな収穫でした。今まで、物質的な豊かさを求めてきた環境にありましたが、改めて考えると、「大切なものほど目に見えないものである」ことを実感することができました。
 コーヒーもまた同じで、コーヒーというのは物質的な豊かさを超えた、精神的な豊かさの象徴であるものだと思えるようになりました。
 コーヒーを通して、様々な人の力を借りて生きていること・本当に大切なものを見つけること等を提案していきたい。それが、自分の役割であり、Coffee SAKURAの役割になる…と、今は思っています。

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